女性ホルモン講座③女性アスリートと身体のお悩み ~その1~無月経と骨折

こんにちは!カオルフルールの坂本薫です。

意外と知らない女性特有のお悩みについてお伝えしていこうと始めたブログ。

「分かりやすく!」「楽しく!」女性ホルモンを学びましょう~♪

 

想いの中で…

昨今、女性は職業人・専門職・管理職としても期待されながら一方で家事や育児・介護・雑事など家庭や地域の活動を担うこと期待されています。しかし、女性を取り巻く心身の特徴や様々な不調について周囲の理解が足りなかったり、支援が不十分な現状があります。

 

 

余談ですが、看護短大の卒業研究が「看護師の結婚・妊娠・出産について」をテーマにしたのもあり、やはり「どうしたら社会で活躍する女性をサポートできるか?」は私の中でも重要なテーマだと思っています。

 

 

今回のテーマは【女性アスリートと身体のお悩み】についてです。

来年2020年はオリンピックイヤーですね~♪スポーツは人々に感動を与え、それを仕事にする方々は素晴らしいお仕事だなあと素人ながら思います。

先日、独立行政法人日本スポーツ振興センターの方とお話する機会をいただきました。スポーツ庁業務委託事業で女性アスリートの育成・支援プロジェクトが進められたり、様々な女性アスリートを支援する団体が増えてきているとのことでした。

今回は東大病院から発行された「Health Manegement for Female Athles Ver.3」の内容の一部を

「超わかりやすく!」まとめてお伝えしたいと思います。でも、今回はちょっとだけ難しい内容もあるかも知れません。

1女性アスリートの無月経について

まず、「続発性無月経」とは「月経が3か月以上とまっている状態」を言います。

生理的なものは妊娠や産褥(産後)、授乳性、閉経がありますが、病的なものは様々あります。

女性アスリートに多い無月経(視床下部性)は「利用可能なエネルギー不足」で、エネルギーバランスと月経周期には大いに関係があります!!

 

 

「月経がこなくてなってラッキー」「アスリートとして無月経になって一人前」だと言われる時代もありました。

 

「月経の必要性」や「食事の大切さ」をお伝え出来たらと思います。

 

国際オリンピック委員会の合同声明に

「男性アスリートを含むすべてのアスリートにとって、相対的なエネルギー不足は、発育・発達や代謝、精神、心血管、骨など全身へ悪影響を与え結果的にパフォーマンス低下をもたらす」とし、「運動によるエネルギー消費量に見合ったエネルギー摂取量」の重要性について警鐘を鳴らしています!

 

 

 

この中でも女性アスリートに多い健康問題として

①相対的なエネルギー不足

②無月経

③骨粗しょう症

を「女性アスリートの三主徴(さんしゅちょう)」と呼んでいます。

 

 

2女性アスリートの三主徴

以前は利用可能エネルギー不足は摂食障害という定義でしたが、診断がつく前からの介入が必要!ということから2007年に定義が変更されました。特に10代のアスリートや審美系、体重‐階級制競技のアスリートに多いと言われています。

 

「運動によるエネルギー消費量に見合った食事からのエネルギー摂取量が確保されていない状態」をチェックするために、「BMI17.5㎏/㎡以下、思春期では標準体重の85%以下」を第一段階スクリーニング検査に用いています。

無月経になるパーターンは3つあります↓

①体重減少がみられた時期に無月経となる

②低体重を求められる競技・種目に参加し、長期間無月経で経過している

③体重の変動はあまりないが、トレーニング量・強度が増えた時期に無月経となる

 

 

原因によって治療法が変わるので、原因を特定することが必要なんです!

 

3女性アスリートの三主徴と疲労骨折の関係

エネルギー不足が続くと、脳の下垂体からの女性ホルモンである黄体ホルモン(LH)の周期的な分泌が抑えられ、排卵がなくなります。これを放置すると月経不順から無月経となります。無月経になると「エストロゲンの低下」により「骨密度が低くなる」ことが明らかになっています。

 

つまり…

 

 

脳はエネルギーの1/4を消費していると言われています。脳の栄養である糖が不足することで、ストレスフルになり脳のダメージを最小限にするために生命維持に関係のないパーツへのエネルギー消費をストップさせようと働きます。その結果、生理が止まり、骨粗しょう症の原因となるのです。

 

骨粗しょう症は一般には閉経後の女性に多いのですが、10~20代の若い女性アスリートには珍しくありません。

三主徴のうち1つの疾患がある場合疲労性骨障害のリスクは2.4~4.9倍、三主徴全てがある場合は6.8倍、疲労骨折のリスクが高くなると言われています。

 

競技人生を終えた後にも生涯女性として健康を守るうえで、ジュニア期からの予防とスクリーニング検査が必要であるといわれます。

 

トップアスリートだけではなく、地方大会出場レベルのアスリートにも無月経はみられており、どこでスクリーニングチェックが入るのか?心配な部分でもあります。

 

女性は特に身体の痛みや不調を我慢しがちで、気が付いたら生理が数か月来ていないというかたも少なくありません。

 

 

迷わず受診し、正しい治療を受けてください。スポーツ人生もも女性としての人生もどちらも健康的でありたいと願います!

 

 

参考文献

「Health Manegement for Female Athles Ver.3」2018/3/31 東大病院医学部付属病院女性診療科・産科

「女性の健康包括支援のための診療ガイドブック」2019/3/1東大病院医学部付属病院女性診療科・産科

「婦人科・乳腺外科疾患ビジュアルブック」2011/9/30 落合慈之 株式会社メディカル秀潤社

「最新女性医療vol.4No.12017 女性にとってのテストステロン」フジメディカル出版

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